英信個別での授業の進め方で基本となるのは以下の手順です。
①理屈や理論を説明する。
②それを使ってどうやって解くのか、具体例を見せる。
③指示をした通りの解法を再現しているか観察する。
例えば、①は「底辺×高さ÷2で三角形の面積が求められる」と言ったことです。
でもそれだけでは何のことか理解しにくいので、②で実際の計算を見せます。三角形を見せて、「6×3÷2=9 9㎠」などの式を2~3つ見せるとイメージが湧きます。
指示をした通りの解き方が再現できない生徒
実はたいていの生徒はここまで見せて、それで問題を解かせるとほぼ正解してくれます。いわゆる学校の授業がそうです。先生は前で上記のことを説明します。それで「はい、問題解いてみましょう」です。
ただ、たまに①②の説明を経ても、「手順通りに解くことができない」という生徒がいます。そこで出てくるのが③の手順です。
以下の問題を例に挙げて説明してみましょう。(中1数学)
(-56)÷(+8)
この問題の解き方としては、
- 「÷(数字)」の部分を逆数にして、掛け算の式にする
- 全体の符号(+か-か)を決める
- かっこを外す
- 計算をする
という手順です。
ですから、
(-56)÷(+8)
=(-56)×(+1/8)
=-56×1/8
=-7
という手順なのですが、結構な頻度で手順2の「全体の符号(+か-か)を決める」を飛ばす生徒がいます。その結果、「マイナスを書き忘れる」といった現象が起こります。また、手順2と手順3をまとめてする生徒もいます。
例で見せた方法の通りに再現することができていない場合、待っているのは不正解です。「早く解きたい!」という気持ちだけが先行している生徒や慎重さを欠く生徒に起こりがちな現象です。
個別指導ならではの指導プロセス
私は個別指導の塾に通っている一番の意味は、この「③指示をした通りに解けているのか観察をする」ことをしてくれることにあると思います。
個別指導の講師はこの生徒が指示通りに忠実に解法を再現しているかを見ています。
これは将来必要になってくる、「会社や上司から言われたことを指示通りに忠実に実行する力」を養っているともいえます。
現在はそんな力よりも「自分が考えた独創的なアイデアや個性が求められる時代だ」という意見もあると思います。なるほど、納得です。
でも、大げさな話ですが人類の英知はこれまでの偉大な諸先輩方の経験の積み重ねの上に成り立っているものです。それらをすべて無視して、独創的なやり方と言われても彼らに勝てるわけがありません。まずは基礎学力を身に着けてからです。
相手が言わんとしていることを理解してその通りに実行する。コミュニケーション力を鍛える部分とも言えます。