「勉強するぞ!絶対にテストの点数上げるぞ!」という雰囲気

[記事公開日]2021/08/02

教室運営で意識することに、いかに学習の雰囲気を作り上げるか、ということがあります。

私の長い間の教育業に携わっている間、失敗も経験しました。具体的には「学習の場が子どもたちが楽しくおしゃべりをする場になってしまった」ということです。

大きなテーブルがあって、そこに4、5人ほどの子どもたちが連れ立ってやってきて座ります。で、カバンを下ろしてさあ勉強開始。ここまではよかったものの、隣で教え合うとすぐに脱線するんですよね。

「えー、お前んとこの数学、もうこんなところまで進んでんの?」

「ちょっとこのプリント無くしたからコピーさせてぇな。」

という話などなど…。そのうち笑い声も出てきます。私がおしゃべりを注意をしても、私が去ればすぐにまた目を見合って笑いあったり、ふざけて隣の子の消しゴムを隠してみたり…という繰り返しで、大変困らされました。

カバンの中にお菓子を隠して食べる、見えないところで携帯をいじってそっちに気がとられて全く勉強が進まない、もありました。

一番こたえたのは、そういう子どもたちの何人かは入試が近づくと、「オレ、そろそろ本気でがんばるわ!だからこの塾やめる!」と言ってきたことでした。ここにいれば仲の良い友達が多くて楽しい。でもそれでは成績が上がらないから、彼らから離れるために別の塾に移る、ということでした。

じゃ、この塾はいったい何のために存在しているんだろう????? …めちゃくちゃ考えさせられました。

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英信個別はそういう私の長年の経験と反省の上で創った塾です。とはいえ、通ってくれている子どもたちに対して、常に声を荒げて怒鳴り散らすということはほぼありません。そういう「勉強する場所」の雰囲気が出来上がっているので、おしゃべりしにくい空気がありますし、何よりそういう「友達同士でゆったりできる空間」がありません。友だち同士で向かい合ったり、隣り合ったりする座席は物理的にないので、教えて合うこともできません。必然的に勉強は一人です。

おかげさまで、「いろんな塾を回った結果、一番ここが静かだった」という声も頂戴できる塾になりました。

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前に勤めていた教室では、夏休みの時期になると「季節の雰囲気を教室に作ろう!」という全教室で行う施策の一環として、スイカのビーチボールが送られてきたことがありました。それを教室の天井からぶら下げるのです。他にも可愛らしいキャラクターが浮き輪に乗って楽しく遊ぶ、スイカ割りをしている、ハンモックで寝てキャンプを満喫している、そういう内装も作りました。結果、見上げるとビーチボールがエアコンの風に当たってふわふわしてる教室になりました。七夕飾りも、ハロウィンの飾りも、クリスマスのきらびやかなツリー装飾もつくりました。季節感満載です。

ただ、受験勉強に向かってド真剣になれる場所かというとどうなんでしょう? 当時も心の中で、「季節ごとの装飾を作ったら点数上がるのか。そんなわけないやろ…」と思いましたが、楽しい教室の雰囲気は入塾者の増加や友だちの紹介につながるらしく、その大事さも理解できたので積極的にやっていました。

で、いろいろ思案した結果、やっぱり自分で作った塾ではそういう装飾は一切しないことにしました。

このように約15年間、アルバイトの時期も含めると20年間現場経験を積んだことが今の教室運営に生きています。

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先日、別の個別指導塾で勤務をしていた経験のある講師(大学院生)を採用しましたが、その彼と話をしていてこの教室をどう思うかを聞いてみました。

「楽しい雰囲気は前の職場の方があったと思います。子どもたちは本当に元気で楽しそうにやっていました。ただ、成績はこっちの塾の方が確実に上がるな、と思います。成績が上がる塾とはこうあってほしい、という姿がここにはあると感じます」

とのことでした。

なお、私は子どもたちが楽しい雰囲気で通える塾を否定しません。そういう入り口から入った方が良い子どももいます。成績アップに向けて厳しい場所に身を置くなんて、全員ができるとは思いません。友だちと楽しく勉強する、毎日塾に楽しく通う、そういうことに価値を見出すこともアリだと思います。

でもそのうち、私がかつてされたようにその子どもが「本気で成績を上げたい!」と思ったとき、当塾を選択肢にしてもらえれば幸いです。