小学生の授業では、「お手本を見せる」ということを強く意識しています。
例えば、「小数÷小数のひっ算」「分数÷分数」などは解き方の手順が明確に決まっており、その手順を把握してもらうことから始まります。
そこでは、口頭の詳しい説明よりも、まずは講師が正しい解き方の手順を見せます。
「認められたい」「構ってほしい」という子どもたち
子どもたちは「認められたい」という欲に溢れています。そのため説明をしているときに「これ6やろ?」とか「それって小数点をここに移動するのとちゃう?」と、今から説明する内容をいっぱい言ってくれます。
そして私が笑顔で、「ようわかってるやん!さすがやなあ!」というと、得意げな表情を笑顔とともに返してくれます。
しかしながら、その説明が合っている生徒もいれば、間違っている生徒もいます。もちろん、間違っていても否定はしません。
そういう生徒がいる場合は、「お?そう考えるの?ほな、この続き見てみてや~」と言いながら、解き方を見せます。
すると、「なるほどそうなんや!」と納得してくれます。
変わらず、いっぱいチャチャを入れてくる生徒もいますが、ともあれひとまず見本を2回程度見せます(理解力の高い生徒は1回の見本で済む場合もあります)。
同じ手順で解いてもらう
次に、子どもたちにそれと同じ手順で問題を解いてもらうように指示を出します。そのとき、講師はその解き方をずっと隣で見続けるのがポイントです。
ある生徒は、「整数÷小数のひっ算」の問題を、問題集からノートに書き写している時点で、先に小数点を移動させていました。その子は「最初からこうやったら早いわ!」と言っていましたが、私から「それはダメやで~」と伝えて、修正させます。
確かにそういうことをする手順はありますが、まずは計算問題を正確にノートに書き写すことが大事です。2つのことを同時にするとミスをしますからね。まずは私が見せた手本通りに問題を解いてもらうのです。
そのため、横でジーっとそれをみてチェックします。
苦手な生徒でも、同じ種類の3問くらいを解いてもらうと、解法が把握できてあとはどんどんできます。「頭で理解する」、というよりも「体で把握する」といった感覚でしょうか。
一緒に喜ぶ
そして、「さすがやん!」「うれしいわ!」「俺の説明のおかげやな!」(念のため書きますが、冗談です)と言って一緒に喜びます。
その後、家庭でも取り組めるようにもう少し問題演習を繰り返して、次の単元に進み同じことを繰り返します。説明だけでどんどん先に進んでいけるのは、ほんの一部の子どもたちだけです。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ」(山本五十六)という有名な言葉がありますが、初めてのことを他人に教育する際の原点はこの言葉にあると感じます。
中学生、高校生はこの指導方法の延長です。よろしかったらご家庭でもどうぞ。