猛烈に勉強させてくれる塾からの転塾

[記事公開日]2021/09/17

ずいぶん昔の話になりますが、少し離れたところにめちゃくちゃ勉強をさせることで定評のある塾がありました。

ある日、そこに通っている中学生の保護者からの問い合わせがありました。「そこの塾で長い時間かけて勉強をしているが定期テストの点数が上がらない」「本人がしんどがっているのでうちの子のレベルに合わせて学習を進めてほしい」ということでした。

正直言って、そこまでたくさんをさせているし、授業時間もかなりかけて努力しているだろうから、それでも上がらなかった生徒を受け入れて大丈夫かな、という不安はありましたが、話を聞いてみることにしました。

  • 向こうの授業はひたすら自習形式で、問題集を渡されてそれをずっと解いている
  • 先生が教壇に立って解説はたまにしてくれるが、基本的に問題集の解説を自分で読んで理解して解いていかなくてはならない
  • わからないところの質問をしたいけれど(質問に答えてくれる人はいるらしい)、緊張して自分から手を上げられなかった
  • その質問に答えてくれる人は、子どもたちの解いている様子を見て積極的に関わってくれるわけではない

結果として、「何をやったらいいかわからなくなって、授業中は答えを丸写していた」と教えてくれました。答えを写してしまった問題をもう一回やればまた違うのでしょうが、どこまで進んだのかを先生が確認しやすくするために、問題集に直接書き込む形式になっていたので、再度その問題を解くことはないことも悲劇でした。わからないものはそのままでどんどん先に進んでいく…。

当時私がいた教室に入塾してもらって授業を始めたところ、「計算の時に、式を飛ばす癖があるな」とか「まずは英単語覚え直すところ始めないとダメだな」とかが分かったので、遡って指導をしました。もちろん、「わからなかったところはもう1回解き直し」などを指摘して努力してもらった結果、入塾前より定期テストの点数は上がりました。

量とか質で定評のある塾ではありましたが、入塾者全員に合っている、全員の成績を上げられている塾ではなかったんだな、と身をもって理解できた出来事でした。もちろん、うちの塾もまたそうでしょうね。全員が全員、満足できるかと言われるかというとそうでもないでしょう。

保護者にお願いしたいなと思うのは、塾任せにせずに、お子さんとコミュニケーションを継続して取り続けることと思っています。入塾してからも1ヶ月経ってから、3ヶ月経ってからなどのタイミングでお子さんからよくよく話を聞いて、成績向上に向けた行動ができているか確認をしてもらえるとこういうことは防げるのかなと。(なお、保護者から一方的に「塾に行け」と言っていると正直に話してくれないと思います。)