「体調管理をしっかりしましょう」という言い方

[記事公開日]2018/01/08

風邪・インフルエンザが流行する冬になると、「体調管理をしっかりしましょう」とよく言われます。

でも、「この体調管理をしっかりする」とはどういうことなんでしょうか。改めて言われてみるとよくわからない言葉です。

字面そのままに受け取ると、「体温や血圧を測ってノートにつける」ということになりますが、そんなわけはありません。

もし、風邪をひかないようにしてほしいのなら、「外出時にはマスクを付けましょう」「外から帰ったら、うがい手洗いをしましょう」「ご飯は三食、食べましょう」「一日に8時間は睡眠時間を取りましょう」と言うほうが具体的でわかりやすい言葉です。

ま、「要は元気に過ごせってことなんだろうな」、と受け止められて、流されがちな言葉です。

 

「しっかりやれ」は逃げの言葉

似たような発言に、以下のようなものがあります。

  • 「しっかりやれ」
  • 「ちゃんとしろ」
  • 「気を抜くな」
  • 「がんばれ」

他にもたくさんあると思います。

「相手の発言の言外の意味を察して行動する」というのは日本人の美徳かもしれませんが、それは経験の上に養われるものです。まだ経験の浅い子ども、新入社員、新人アルバイトには具体的にどのような方法で、どの程度の成果を求めるのかを明確に伝えるのは、先達の役割と言えるでしょう。

厳しい言い方ですが、「しっかりやれ」というのは、「事前に言ったのに…」と逃げることのできる指示の仕方です。

子どもたちへの指導でも最初は「単語やっといてね」ではなく、「来週の月曜日から単語テストを行います。1回目は1~50までの中から20個、2回目は1~100の中から20個。それを続けて合計450個を1月末までにクリアしてもらいます。なお、テストは日本語から英語にする形式で、9割の正答率で合格。ただし、1月10日までに全体の3分の1に到達できていなかったら、呼び出します。」と伝えるようにしています。(長い場合は紙にまとめて)

ここまで具体的に言うことで、やり切ることを体感してもらえるようになります。「単語やっといてね」と言うよりも、指示が具体的なものであることで、こちらの本気度が伝わるのだと思います。

「体調管理をする」とは具体的に何をするこのか。「勉強しっかりやってるか」の「しっかり」とは具体的に何をどうすることか…。

まだ決定的な方法が見つかっていないからこそ、子どもたちには、そばにいる大人からの具体的なアドバイスが必要なのだと思います。